ぎっくり腰の痛みは、経験者でないとわからないほどの痛みです。
ほとんどの方は激痛に顔をしかめ、脂汗を滲ませ、誰かに支えてもらって来院されます。
自分も体験したときはその場から動けずに時が止まっていました。
ぎっくり腰は、重いものを持ち上げたときに起こりやすいイメージですが、
・咳やくしゃみをしたとき
・ベッドや布団から身体を起こそうとしたとき
・顔を洗うとき
・いすに腰かけて横や後ろのものを取ろうとしたとき
・掃除機をかけようとしたとき
・ゴルフ、野球などの素振りを軽くしたとき
など、さまざまなケースがあります。
日常の何げない動作をしたときに、だれにでも起こりうるものです。
自己判断で、間違った対処法を行い、適切な手当てをせずに放置してしまうと、椎間板ヘルニアや慢性の腰痛に進むケースも多いので、注意が必要です。
◆痛めてしまった時にしてはいけないこと。
1.お風呂でしっかり温める
腰の周りに炎症が起きていることもあり、血行を良くしてしまうと症状を悪化させてしまう可能性が高くなります。熱すぎず、短い時間のシャワーで済ませてください。
2.マッサージを受ける
マッサージは血行改善を目的としているので、炎症を起こしている部位への施術は症状を悪化させてしまう可能性が高いです。
3.飲酒
マッサージ同様に飲酒は血行が良くなってしまうため、症状が悪化する可能性が高くなります。飲んでいるときは痛みが和らいだ感覚になる人もいますが、翌日に痛みが強く出やすいです。
◆ぎっくり腰になってしまった時のはじめにするべき対処法
1.安静
1~3日程度を目安に、あまり痛まない姿勢で安静にしてください。
3日以上の安静は、逆に回復が遅くなることが多いです。できる限りの日常生活を過ごしたほうが回復も早いです。長期にわたって安静にしていると体力、筋力が落ちてしまい、回復が遅れてしまいます。
2.冷やす(アイシング)
患部を冷やすことによって、血管を収縮させ炎症を抑えるとともに、寒冷による麻痺作用から痛みを軽減させてくれます。
代謝を抑えて、損傷部の拡大を防ぎます。
アイシングの目安としては15~20分以内で、感覚がなくなった時点で腰痛の患部からアイスバッグを外します。大体1時間くらいで感覚が戻ってくるので、腰痛の感覚が戻ってきたらまたアイシングを繰り返します。
48~72時間程度続けて行います。
凍傷を生じないように注意が必要です。睡眠中はシップなどにしておきましょう。
3.固定
痛めてしまった部位の動きを制限するため、痛みを軽減させることができます。
コルセットによって腹圧を高め、体幹を安定させるため、痛めている部位への負担を軽減できます。
◆当院での治療法
10人のぎっくり腰患者さんがいれば、10種類のぎっくり腰があります。
一人ひとりに最適な治療を提案します。
治療にかかる期間は患者さんによって異なりますが、1回の治療で歩けるようになる方も多いです。目安は3日~5日です。その後はリハビリ期間へと入ります。
ぎっくり腰になっても身体が動けてしまうと「大丈夫だろう」と油断しがちですが、動ける初日のうちに専門機関に行って適切な治療を受けると、大事に至る前に日常に戻ることができます。